突然ですがみなさんは居酒屋さんなどで日本酒を選ぶときどうやって選んでますか?
よく「辛口のでお願いします。」「辛口の甘くないので!」なんて会話をよく聞きます。
でもその日本酒、本当に辛口ですか?
実は辛口とはどんな日本酒なのかわかっていない人って意外と多いんです。
今回は知ってるようで知らない日本酒についてお話しします!
スポンサーリンク1 日本酒とは
そもそも日本酒はお米に麹を加えることで、でんぷん質を発酵させアルコールさせ水を加えて作られる醸造酒です。
醸造酒とは米や果物を発酵させて作るお酒の総称で、ワインやビールも醸造酒の仲間となる。
お米は食用米ではなく、酒米と呼ばれる日本酒専用のお米を使います。
五百万石や美山錦、出羽燦々など様々な種類があります。
中でも有名なものだと山田錦で特に兵庫県東条特A地区のものが最も品質が良いとされています。
2 日本酒度
皆さんは日本酒度という言葉を聞いたことはありますか?
よく日本酒の裏に+(プラス)とか−(マイナス)で表記されてるのを目にしたりしますね。
日本酒度とは日本酒に含まれる糖分を表す指標で、プラスが大きいほど糖分が少なく逆にマイナスになればなるほど糖分が多いとされています。
一般的には日本酒度を辛口甘口の基準にしています。
そのため多くの人がプラスが辛口でマイナスは甘口と思って日本酒を選んでいますが飲んでみると思っていたのと違うなんてことがよくあります。
実は日本酒度は必ずしも辛口や甘口の指標では無いのです。
そもそも日本酒度とは日本酒を楽しむ側ではなく造り手側が使う数値でした。
「浮標」と呼ばれる計器を15℃の日本酒に浮かべて4℃の水と比べて比重が重ければマイナス、軽ければプラスとなる。
これは麹の働きにより糖がアルコールへ変わる過程を調べるために行われ、糖は水より重くアルコールは水より軽い性質を利用したものです。
確かにアルコールが多ければすっきりとしたり、糖分が多ければまろやかにはなりますがここでの変化だけで飲み口は決まりません。
種類によってはアルコール添加や加水をし味わいなどバランスを整える場合もあります。
そうなると糖分とアルコールの比率は変わってきてしまいます。
日本酒度は参考程度にしましょう。
3 酸度
酸度とは発酵の過程で発生したリンゴ酸やコハク酸、乳酸などの酸味のことを言います。
これらの成分は日本酒にコクや旨味を与える大事な成分です。
それと同時にこの酸度の強さにより日本酒の口当たりが大きく変わります。
酸度が高いと酸の刺激が強いため辛口に感じ、酸度が低いとまろやかな口当たりになるので甘く感じやすいと言えます。
しかし旨味が強いお酒や甘い香りのお酒はたとえ酸度が高くとも甘く感じたりすることもあるので一概に酸度だけで判断するのは難しいと言えます。
4 甘辛度
前述の日本酒度と酸度を組み合わせて辛口と甘口をより正確に表す指標として1974年に『公益財団法人日本酒醸造協会』が考案しました。
193593÷(1443+日本酒度)−1.16×酸度−132.57=甘辛度
- 非常に辛い(-3)
- かなり辛い(-2)
- 少し辛い(-1)
- どちらでもない(0)
- 少し甘い(1)
- かなり甘い(2)
- 非常に甘い(3)
数値が高いほど甘口となります。
こちらの数値は辛口や甘口を判断するには信頼性が高く判断基準にして問題ないと思います。
しかしご覧のように計算が非常に複雑で素人には難しいものがあります。
一部の日本酒には表記がされていたり蔵元がネットなどで公開している場合がありますが一般的ではまだないようです。
5 なぜ辛口が好まれているのか
そもそも美味しい日本酒=辛口という考え方はなぜここまで普及したのでしょうか。
昔は日本酒の二大名産地として兵庫の灘と京都の伏見が有名でした。
硬水を仕込み水に使う灘は辛口で男酒と呼ばれ軟水を使う伏見は甘口の女酒と呼ばれており今のように辛口がいい日本酒という考えはありませんでした。
それが戦時中の品不足などから三倍増醸清酒(三増酒)と呼ばれる日本酒に水にアルコール、そして糖類を加えて作るお酒が普及しました。
三増酒は飲んでいると口が粘っこく甘ったるくなってきます。
そんなお酒が一般化した中に戦後も伝統的な造り方を守る『剣菱』などを筆頭に灘の辛口が脚光を浴び始めTVCMで『菊正宗』が本格辛口を売りにしたことで辛口至上主義に拍車がかかります。
さらにはその後の地酒ブームにより新潟のすっきりとした辛口の大吟醸などの高級酒が流行り一般的に辛口こそいいお酒のイメージが定着していきました。
6 日本酒の味わい
日本酒度や酸度などなんとなく理解していただいたら少しは日本酒の味わいの判断の指針くらいにはなると思います。
そこにさらに香りと旨味の要素が大きく日本酒の味わいに影響があります。
一般的に香りが淡く飲み口もさっぱりとしたものが辛口と感じやすいと言われます。
反対に香りが華やかで味わいが濃厚なものは甘口と感じやすいです。
こういった味わいの違いを4つに区分した表し方があります。
- 熟酒・・・香り味ともに濃厚なお酒
- 醇酒・・・香りは淡いが味は濃厚なお酒
- 薫酒・・・香りが濃くて味わいは淡いお酒
- 爽酒・・・香りも味も淡いさっぱりとしたお酒
これらを意識して日本酒を味わうとどのお酒がどのような味わいなのかが自分で判断し比較できるようになります。
そもそも日本酒は米と水のお酒なので甘いようそのものは含まれておらず、甘口や辛口の表現自体に語弊があると思います。
味や香りの濃淡や旨味がしっかりとか華やかなものなどのように表現するとお店でも好みの日本酒を見つけやすいと思います。
7 これからの日本酒と辛口甘口
近年の日本酒は作業環境が良くなり技術や設備の進歩により味わいがより複雑になり旨味のしっかりとした甘いと感じやすいお酒が増えてきてます。
全国新酒鑑評会でも辛口のお酒ではなく甘口のお酒が多く提出されるようになってきています。
さらには若い杜氏さんも増えて新たな日本酒にどんどん挑戦をし他との差別化を測これまでにない味わいの日本酒を作る造り手も出てきています。
つまり単純に辛口だ甘口だではなくこの造り手のこのお酒ならこの料理、この日本酒なら肉になど用途に合わせワインのように造り手や産地、お米の種類と選ぶ時代になってきています。
まとめ
いかがですか?
なんだか日本酒の味わいのことわかってきましたか?
- 日本酒は醸造酒でワインやビールの仲間
- 日本酒度はプラスとマイナスを参考にする
- 酸度で口当たりのイメージをする
- 甘辛度が飲み口の基準になるが計算が困難
- 戦後の三増酒により辛口が求められるようになった
- 日本酒は味わいや香りの濃淡で表現するのがイメージしやすい
- 近年は旨味のしっかりとした複雑な日本酒が増えている
日本酒は日本が世界に誇れる魅力的なお酒です。
これからはより様々な場面で日本酒を楽しんでくださいね!
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